明治維新150年の今年にちなんだ一冊
幕末の佐賀藩で名君鍋島直正の命を受けて「鉄製大砲」を製造する男たちの命がけの物語
佐賀藩は他藩に先駆けて(他藩は佐賀藩の技術指導を受けてなんとか反射炉を作ったので先駆けも何も他の追随を許していないのだが)反射炉を築造して鉄製の大砲を製造した。佐賀藩の製造した鉄製大砲と佐賀藩が整備した長崎の台場(大砲を据える基地)がなければペリー来航後の日本は独立した国として諸外国に認められずにどこかの植民地になっていたかもしれないし、明治維新も違った形にしかなっていなかったかもしれない。
反射炉築造のリーダー本島藤太夫の第二子作之進は父のプロジェクトを批判する周りの声によりうつ状態となり、その息子を立ち直らせるために命がげの試射の役目をあてがう父。視力を失い体がボロボロになりながらも健気にその役目をやり遂げ絶命する息子。鉄製大砲を作り国を救うという大きな目標のために命をかける姿は郷土の先人として誇らしく感動せずにはいられなかった。
佐賀県の中高生にはこのような本を読んで大志を抱いて欲しいと思う。